演技レッスンのポイント
Lesson6
【役へのアプローチの究極】
よく、台本の本読みを終えて感想を聞くと
「役と自分はこんな所が似ている」
「こんな境遇が似ている」
などと自分と役との共通点を見つけようとします。
日本のタレントさんの役作りのインタビューなどを聞いていてもそうですね。
「自分と役はこんな所が似ていて・・・」
「こんな所が近くて・・・」
多くの役者さんがそうですね。
でも・・・・
自分と役の共通点ばかりみつけて演技したら、
そこに出ているのは誰なのでしょう?
はい、役ではなく、役者自身ですね。
よく「何をやっても同じ演技だ」と言われる役者さんっていますよね。
有名人の中でも。
実はそれが原因です。
自分と役の共通点だけを見つけて、後は自分の感性でやってしまう役者さん。
逆にロバート・デ・ニーロやアル・パチーノらのように作品ごとに別人が出ている印象がある役者さんもいますよね。
しかも、それぞれうそ臭さはありません。
その秘密を教えます。
これはとても重要なので一生心に留めて置いてください。
これだけで、あなたはライバルと一気に差をつけられます。
それは
「自分と役の違う部分にフォーカスする」
これなのです。
自分との共通点は放っておいて良いんです。できるんだから。
本当の役へのアプローチとは、自分とは違う人間の違う部分に自分が近づいていく作業なのです。
「自分はこの時こんな風には言わないけど、役は言う。その違いは何なのだろう?それを自分の中で正当化するには何を準備したら良いのだろう?」
「自分だったら、こんな状況の時は泣いてしまう。でも台本には笑っていると書いてある。なぜなんだろう?それを正当化するには?」
そうやってアプローチしていくのが本当の役へのアプローチです。
そして、そのアプローチには正解を求めてはいけません。
いろいろ試してくことです。
それができるのが稽古場です。
稽古場は、単にセリフあわせをしたり、動きをあわせたり、きっかけをつかむだけのものではありません。
いろいろな事を試す場です。
そして試して出た結果に対して考えて、次にまた試す。
この繰り返しをしていく事が役へのアプローチに繋がります。
そして、さらに究極は役の全てを正当化できるようにすることです。
セリフの一言一言、ト書きに書いてある一挙手一投足。
全て役として当たり前のこととして正当化できるようになることが役へのアプローチです。
そして、それを思考レベルではなく、心が動くレベルでアプローチしていくことです。
頭でどんなに理屈理論だって説明ができてもそれに対して心が動かなければ冷たい演技になってしまいます。
理屈理論で説明されたって、観客にはなにも伝わりません。
だから、俳優の楽器の訓練が必要です。
心と身体が動きやすいように訓練しておく事で、シチュエーションに入り込みやすくなるのです。
くれぐれも頭だけでやる演技はしないように。
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Lesson1
【演技の基本は俳優の楽器の訓練】
Lesson2
感情は、【込める】ものではない。【生まれてくるもの】です。
Lesson3
【説明の演技】と【体験の演技】
Lesson4
【感情】にフォーカスしない
Lesson5
【役へのアプローチ入門】
Lesson6
【役へのアプローチの究極】
Lesson7
【役としての過去の経験をしてみる】
Lesson8
【セリフを自分の言葉に直してみる】
Lesson9
【役を正当化する】
Lesson10
【自分の感動を演じない・役として】
Lesson11
【演技がうまいとはどういうことか?】
Lesson12
【緊張と声の問題を解決する方法】